このブログでは、中学受験の国語の読解力を劇的に上げるための家庭学習の秘訣を5つご紹介します。お子さんが文章の「意味」を深く理解し、設問に的確に答えられるようになるための具体的な方法を、余すところなくお伝えします。これらの秘訣を実践することで、きっとお子さんの国語に対する意識も変わり、自信を持って学習に取り組めるようになるはずです。

1. 「なんとなく読む」を卒業!読解の「型」を身につける
設問から逆算する読解アプローチの徹底
多くのお子さんは、文章を頭から順に読んでいく傾向があります。しかし、中学受験の国語において、これは効率的とは言えません。なぜなら、設問には必ず「本文のどこに注目すべきか」というヒントが隠されているからです。設問を先に読むことで、文章を読む目的が明確になり、無駄なく必要な情報を探し出すことができるようになります。たとえば、「傍線部Aの理由を述べなさい」という設問があれば、傍線部Aの直前や直後に、その理由が書かれていることが多いものです。そのため、お子さんには、まず設問に目を通し、どのような情報が求められているのかを把握する習慣をつけさせましょう。
このアプローチは、まるで宝探しのようなものです。宝の地図(設問)を先に確認することで、どこに宝(解答のヒント)が隠されているのかの見当をつけられます。地図を持たずに闇雲に掘り進めるよりも、はるかに効率的であることは言うまでもありません。お子さんには、単に問題を解かせるだけでなく、「先に設問を読んでから本文を読み始めるんだよ」という指示を徹底してください。そして、実際に設問を先に読むことで、どのような情報が目に入ってくるのか、どこに注目すべきかが分かってくることを体験させてあげましょう。最初は慣れないかもしれませんが、繰り返し練習することで、自然とこの読解アプローチが身についていきます。
しかしながら、設問を先に読むことの利点を理解しても、実践が伴わないこともあります。そのような場合は、具体的な例を挙げて説明してあげることが重要です。たとえば、簡単な物語文を用意し、先に設問を読んだ場合と読まなかった場合で、どれだけ答えにたどり着くまでの時間が違うかを比較させてみるのも良いでしょう。すると、設問から逆算する読解アプローチの有効性が、お子さん自身にも実感として理解できるはずです。そして、この「型」を身につけることができれば、文章を読むスピードも上がり、内容理解も深まることでしょう。
文章構造を把握する「要約力」を鍛える
文章全体の内容を正確に把握するには、文章構造を理解し、要約する力が不可欠です。要約とは、文章の核となる部分を抽出し、簡潔にまとめること。これは、読解力の根幹をなすスキルと言っても過言ではありません。お子さんに「この文章で一番言いたいことは何?」と問いかけることから始めてみてください。最初は戸惑うかもしれませんが、段落ごとに重要な部分に線を引かせたり、メモを取らせたりする練習から始めると良いでしょう。
たとえば、説明文であれば「はじめ」「中」「終わり」の構成を意識させることが大切です。「はじめ」で何が問題提起されているのか、「中」でその問題に対してどのような説明がされているのか、そして「終わり」でどのような結論が述べられているのか。これらの要素を意識して文章を読み、それぞれのパートで何が最も重要なのかを見つけ出す練習を積み重ねましょう。ある日、私の塾の生徒で、いつも文章全体を漠然と捉えてしまい、要約が苦手な子がいました。そこで、私は彼に、まず各段落の冒頭と最後の一文に注目するようアドバイスしました。すると、段落の主要な内容が掴みやすくなったと言っていました。さらに、その段落で何が言いたいのかを短い言葉でメモする練習を繰り返しました。最初は数十字のメモでしたが、次第に文章全体を数行でまとめることができるようになりました。彼の要約力が向上したことで、長文読解の問題の正答率も格段に上がったのです。
この要約力を鍛えることは、国語だけでなく、他の教科の学習にも良い影響を与えます。なぜなら、要約する力は、情報を整理し、効率的に理解する能力を養うからです。そのため、日ごろから新聞記事を読ませて要約させたり、テレビのニュースを見た後に内容を説明させたりするなど、日常のあらゆる場面で要約する機会を設けるようにしましょう。そして、最終的には、文章全体を自分の言葉で、かつ筆者の意図を損なわずにまとめることができるようになることを目指します。この力は、受験だけでなく、その先の人生においても非常に役立つスキルとなるでしょう。
キーワードに注目し、筆者の意図を掴む
文章には、筆者が特に伝えたいことや、論の核となる「キーワード」が必ず存在します。このキーワードを見つけ出し、その言葉が文章の中でどのように扱われているかを追うことで、筆者の意図や論の展開を正確に把握できます。例えば、「しかし」「したがって」「つまり」といった接続詞の前後には、重要な情報や筆者の主張が隠されていることが多いものです。お子さんには、これらの接続詞に印をつけさせ、その前後にある言葉に注意を払うように指導しましょう。
ある中学受験の模試で、環境問題に関する長文が出題されました。多くの生徒が漠然と読んでしまい、筆者の最も訴えたい点を見落としていました。しかし、ある生徒は、文章中で何度も繰り返される「持続可能な社会」「未来への責任」といった言葉に注目し、それらの言葉がどのような文脈で使われているのかを丁寧に追っていました。その結果、筆者が単に環境保護を訴えているだけでなく、それが「次世代への義務」であるという強いメッセージを読み取ることができ、高得点に繋がりました。このように、キーワードを見つけ出すことは、まるで暗号を解読するようなものです。一つ一つのキーワードが、筆者の意図を解き明かすための鍵となるわけです。お子さんには、文章を読む際に、単語一つ一つに意識を向けさせ、特に何度も出てくる言葉や、強調されていると感じる言葉に印をつける習慣をつけさせてください。そうすることで、文章の深層に隠された筆者の真意に迫ることができます。
加えて、キーワードだけでなく、表現のニュアンスにも注目するよう促しましょう。たとえば、「〜すべきである」「〜に違いない」といった断定的な表現や、「〜ではないか」「〜だろう」といった推量や問いかけの表現など、筆者の心情や主張の強さが表れる部分に意識を向けることで、より深く筆者の意図を理解できます。そして、これらの訓練を積むことで、お子さんは単に文章を文字として追うだけでなく、筆者と対話するように文章を読み解くことができるようになるでしょう。
2. 読書量を増やすだけでは不十分!「質の高い読書」を習慣化する
受験に役立つ良質な文章との出会いを増やす
「読書量が多ければ国語が得意になる」という考え方は、一面では正しいですが、中学受験においてはそれだけでは不十分です。受験で求められる読解力は、単なる読書経験だけでなく、論理的な思考力や、筆者の意図を正確に読み取る力も含まれます。そのため、やみくもに本を読むのではなく、受験に役立つ良質な文章に触れる機会を増やすことが重要になります。具体的には、中学受験の過去問や、学習塾が推奨する読解問題集に掲載されている文章、あるいは、新書や評論、説明文など、多様なジャンルの文章に触れることを意識させましょう。
例えば、私がある生徒に勧めたのは、ニュース記事を毎日読むことです。一般的なニュースサイトだけでなく、子供向けに書かれた「こども新聞」のようなものも有効です。そこには、社会の出来事や科学的な事柄が、分かりやすい言葉で書かれています。最初は内容を理解できなくても、毎日触れることで、自然と時事問題や専門用語への抵抗感が薄れていきます。私の経験上、普段から様々な分野の文章に触れている子は、初見の文章でも臆することなく、その内容を吸収していく傾向があります。つまり、多様な文章に触れることで、未知のテーマや語彙に出会った際に、戸惑うことなく対応できる柔軟な読解力を養うことができるのです。そして、このような「質の高い読書」を習慣化することで、お子さんの知識の幅が広がり、読解問題で出てくる様々なテーマに対応できるようになるでしょう。
それに加えて、良質な文章を選ぶ際には、お子さんの興味関心も考慮に入れることが大切です。興味のある分野の文章であれば、集中して読み込むことができますし、それがきっかけで読書自体が好きになる可能性もあります。たとえば、歴史に興味があるお子さんには、歴史に関する新書や、歴史上の人物の伝記を勧めてみるのも良いでしょう。たとえそれが直接受験の出題範囲でなくても、文章を読むことへの抵抗感をなくし、活字に慣れるという意味で非常に有効です。したがって、保護者の方が積極的に良質な文章との出会いの機会を提供し、お子さんが自然とそれらの文章に触れる環境を整えてあげることが、読解力向上の第一歩となるでしょう。
「なぜ?」を問いかけながら深く読み込む練習
ただ文章を読むだけでなく、内容に対して常に「なぜ?」という疑問を持つことが、深い読解に繋がります。筆者はなぜこの言葉を選んだのか、なぜこのような展開にしたのか、登場人物はなぜそのように行動したのかなど、疑問を持ちながら読み進めることで、文章の背景や筆者の意図、登場人物の心情をより深く理解できます。これは、受け身の読書から能動的な読書へと転換する重要なステップです。
例えば、物語文を読んだ後、「主人公はなぜここで怒ったの?」と問いかけてみてください。すると、お子さんは文章中の手がかりを探し、主人公の感情の動きや、そこに至るまでの経緯を考え始めるでしょう。ある時、ある生徒が物語文の読解問題で、「なぜ登場人物はこのような行動をとったのか」という問いに悩んでいました。彼は漠然と「そうだから」と答えるばかりでした。そこで私は、「もしあなたがこの登場人物だったら、なぜそうする?」と問いかけ、さらに「その行動の前に何があった?」と、具体的な出来事を順に辿らせてみました。すると、彼は登場人物の行動の裏にある感情や思考のつながりを、文章の中から探し出し、論理的に説明できるようになったのです。このような問いかけは、お子さんの思考力を刺激し、文章の表面だけでなく、その奥にある意味や感情を読み取る力を養うのに役立ちます。そして、この「なぜ?」という問いかけを習慣化することで、お子さんは文章を深く掘り下げて考えることができるようになるでしょう。
加えて、説明文を読む際にも、「なぜ筆者はこの例を挙げたのだろう?」「この段落で筆者は何を最も伝えたかったのだろう?」といった問いかけをしてみましょう。これは、文章全体の論理構成を理解する上でも非常に有効です。読書後に簡単なディスカッションを行うのも良い方法です。読んだ本の内容について、親子の間で意見を交換し、「あなたはどう思った?」と、お子さんの感想や考えを引き出してみてください。これにより、お子さんは自分の考えを言葉にする練習ができ、さらに深く文章の内容を理解する手助けとなるでしょう。つまり、「なぜ?」という問いかけは、読解力を単なる知識の習得にとどめず、思考力や表現力をも育むための強力な武器となるわけです。
読んだ内容を「自分の言葉」で表現するアウトプット学習
文章を読んだ後、それを「自分の言葉」で表現するアウトプットの機会を設けることは、読解内容の定着に不可欠です。インプットした知識は、アウトプットすることで初めて自分のものとなります。簡単な感想を述べることから、文章の要約、内容に関する意見を述べることまで、様々な形でアウトプットを促しましょう。
例えば、読んだ物語文について、登場人物の気持ちを想像して話してみるのも良いでしょう。「もしあなたがこの登場人物だったらどうする?」と問いかけることで、お子さんはより深く登場人物の心情に寄り添い、共感する力を養うことができます。以前、私の生徒で、読解問題は解けるものの、いざ説明させようとすると言葉に詰まってしまう子がいました。そこで私は、彼に読んだ文章の内容を、私に「先生に教えてあげるつもりで説明してごらん」と促しました。最初はたどたどしかったのですが、私が分からないふりをして質問を重ねるうちに、彼は自分の言葉で文章の内容を再構築し、説明する力をつけていきました。これは、まるで先生になったつもりで、相手に理解してもらうためにどう話せば良いかを考えるプロセスそのものです。この経験を通じて、彼は自分の理解度を深めるとともに、論理的に説明する力を身につけました。そして、このアウトプットの練習を重ねることで、お子さんは文章の内容をより深く消化し、自分の知識として定着させることができるでしょう。
あるいは、読んだ説明文について、家族会議で発表する機会を設けるのも面白いかもしれません。たとえば、SDGsに関する文章を読んだ後、「今日はSDGsについて読んだ内容をみんなに発表するね」と、お子さんに話させるのです。家族の前で発表することで、お子さんは内容を整理し、分かりやすく伝える努力をするでしょう。これは、受験の記述問題対策にも繋がります。人に説明する際は、論理的な構成や、分かりやすい言葉遣いが求められるからです。加えて、文章の内容を絵に描いてみたり、寸劇にしてみたりするのも、視覚や身体感覚を通して内容を理解するのに役立ちます。このように、多様なアウトプットの方法を取り入れることで、お子さんの読解力はより多角的に伸びていくことでしょう。そして、このアウトプット学習を通して、お子さんの国語力は着実に向上していくはずです。
3. 国語力を伸ばす最強ツール!「辞書引き」をマスターする
引くだけで終わらない!「生きた語彙」として定着させる方法
言葉の意味が分からなければ、文章を正確に理解することはできません。そのため、語彙力は読解力の土台となります。しかし、単に辞書を引いて意味を知るだけでは、その言葉が「生きた語彙」として定着することはありません。辞書を引いた言葉は、その場で終わりにするのではなく、日常生活の中で意識的に使う練習をすることが重要です。
例えば、お子さんが辞書を引いた言葉を、一日の終わりに親子で確認し、その言葉を使った短い文章を作ってみるのも良いでしょう。最初はぎこちなくても、繰り返し行うことで、自然とその言葉を使いこなせるようになります。以前、私が担当した生徒で、語彙力はあるものの、それを文章中で使いこなせないという子がいました。そこで私は、彼に「今日の新しい言葉リスト」を作るように提案しました。そのリストには、辞書で引いた言葉とその意味、そして彼が自分で考えたその言葉を使った例文を毎日書かせていました。最初は苦労していたようですが、数ヶ月経つと、彼の作文や記述問題の解答に、リストにあった言葉が自然に使われるようになっていました。これは、まるで新しい道具を手に入れた職人が、その道具を使いこなすために毎日練習するようなものです。辞書で引いた言葉も、使って初めて自分のものとなるわけです。そして、このように意識的に言葉を使うことで、お子さんの語彙力は飛躍的に向上していくことでしょう。
それに加えて、辞書を引いた言葉は、単に意味を知るだけでなく、類義語や対義語、関連する熟語なども一緒に調べる習慣をつけさせましょう。そうすることで、一つの言葉から派生して、複数の言葉を関連付けて覚えることができます。たとえば、「傲慢」という言葉を引いたら、同時に「謙虚」という対義語や、「傲慢不遜」といった熟語も確認するのです。また、辞書を引いた言葉を付箋に書き出し、壁に貼っておくなど、視覚的に常に目に触れるようにするのも有効です。このように、多角的に言葉と向き合うことで、お子さんの語彙は単なる知識としてではなく、「生きた語彙」として定着し、読解の際に大きな助けとなるはずです。つまり、辞書は単なる言葉の意味を調べる道具ではなく、語彙力を育むための強力な学習ツールなのです。
類義語・対義語を意識した多角的な語彙学習
言葉の意味を深く理解し、表現力を高めるためには、単語単体で覚えるのではなく、類義語や対義語を意識した多角的な語彙学習が非常に効果的です。これにより、言葉の持つニュアンスの違いを理解したり、文章中の文脈から適切な意味を判断したりする力が養われます。一つの言葉から複数の言葉へと知識を広げていくことで、語彙のネットワークを築くことができるようになります。
例えば、「嬉しい」という言葉を覚える際に、その類義語である「喜ばしい」「楽しい」「幸福な」など、それぞれの言葉が持つ微妙な感情のニュアンスの違いを考えさせましょう。また、対義語である「悲しい」や「辛い」なども同時に学ぶことで、言葉の持つ意味の広がりを理解できます。以前、生徒に「大きい」という言葉の類義語を尋ねたところ、「巨大な」「広大な」「盛大な」など、たくさんの言葉を挙げてくれました。その際、それぞれの言葉がどのような場面で使われるのが適切か、具体的な例文を一緒に考えさせました。すると、彼は単に言葉を知っているだけでなく、その言葉を適切に使い分けることができるようになったのです。これは、まるでパズルを解くように、一つ一つの言葉が持つピースを組み合わせて、より大きな絵を描くようなものです。類義語や対義語を意識することで、言葉に対する感性が磨かれ、文章の理解度が深まることでしょう。そして、この多角的な語彙学習は、読解力だけでなく、記述力や表現力にも直結する非常に重要な取り組みとなります。
加えて、漢字学習においても、部首や成り立ちを意識することで、類義語や対義語を連想しやすくなります。たとえば、「立つ」という漢字を覚える際に、「起立」や「自立」といった熟語を覚え、そこからさらに「座る」「依存」といった対義語を広げていくことも可能です。また、普段の会話の中で、意図的に類義語や対義語を使うよう促すのも有効です。「これと同じ意味の言葉、他に何があるかな?」と問いかけたり、「これと反対の意味の言葉は何?」と尋ねたりすることで、お子さんは自然と語彙の引き出しを増やすことができます。このように、言葉のネットワークを意識した学習は、単調になりがちな語彙学習をより面白く、かつ効果的なものに変えてくれるはずです。そして、この豊かな語彙力こそが、中学受験国語の読解力を飛躍的に向上させる原動力となるのです。
辞書を「相棒」にするための親子での取り組み
辞書は、ただ意味を調べるための道具ではありません。お子さんの国語学習における「相棒」となるべき存在です。そのためには、辞書を身近なものに感じさせ、積極的に活用できるような環境を整えることが重要です。親子で一緒に辞書を引いたり、辞書を使ったゲームを取り入れたりすることで、辞書への抵抗感をなくし、自ら進んで辞書を活用できるようになるでしょう。
例えば、リビングに常に辞書を置いておき、家族の誰かが知らない言葉に出会ったら、すぐに辞書で調べる習慣をつけるのも良いでしょう。ある時、我が家では、テレビのクイズ番組に出てきた言葉の意味を、みんなで辞書を引いて調べるという遊びをしていました。誰が一番早く正確な意味を見つけられるか、という競争形式にすると、子どもたちは目を輝かせながら辞書をめくっていました。これは、まるで宝探しゲームのように、辞書を引く行為自体を楽しいものに変えることができます。最初は少し手間がかかるかもしれませんが、このような遊びを通して、お子さんは辞書に親しみを感じ、それが「勉強の道具」という堅苦しいイメージから、「知識を探る楽しいツール」へと変わっていくはずです。そして、辞書が身近な存在になることで、お子さんは自ら学び、疑問を解決する力を自然と身につけていくことでしょう。
また、辞書を引いた言葉にマーカーを引いたり、付箋を貼ったりして、自分だけの「オリジナル辞書」を作るのもおすすめです。これにより、お子さんは自分がどれだけの言葉を調べたのかを視覚的に確認でき、達成感を得られます。私の経験上、自分で手を加えたものは、より愛着が湧き、大切にするものです。辞書も例外ではありません。また、電子辞書を活用するのも一つの方法です。検索機能が充実しているため、手軽に言葉を調べられますし、音声機能を使って正しい発音を確認することもできます。しかし、紙の辞書には、言葉を探す過程で偶然に他の言葉に出会う「セレンディピティ」があります。これは電子辞書では得られない、紙の辞書ならではの魅力です。そのため、お子さんの特性や学習スタイルに合わせて、紙の辞書と電子辞書を上手に使い分けるのが良いでしょう。つまり、辞書を単なる学習ツールとしてだけでなく、お子さんの好奇心を満たす「相棒」として捉えることで、語彙力は自然と向上していくことでしょう。そして、この「相棒」との付き合いが、中学受験国語の読解力向上に大きく貢献するはずです。
4. 論理的思考力を育む!「記述力」を読解力に繋げる
自分の考えを「論理的に」組み立てる練習
記述問題は、単に文章の内容を理解するだけでなく、その内容を基に自分の考えを論理的に組み立て、的確に表現する力が求められます。この「論理的に考える」というプロセスは、実は読解力と密接に関わっています。文章の構造を理解し、筆者の主張を把握する読解力があればこそ、それに対する自分の意見を論理的に構築できるからです。
例えば、「あなたは〇〇についてどう思いますか。理由を付けて答えなさい」という記述問題があったとします。この時、お子さんには、まず自分の意見を明確にし、次にその意見を支える「根拠」を文章の中から探し出し、最後にその根拠と意見を結びつける「理由」を明確にするよう指導しましょう。これは、まるで裁判で弁護士が自分の主張を裏付けるために証拠を提示し、それがなぜ証拠となるのかを説明するようなものです。ある時、私が担当した生徒で、自分の意見は言えるものの、理由付けが苦手な子がいました。そこで私は、彼に「なぜそう思うの?」「どこからそう思ったの?」と、繰り返し問いかけました。すると、彼は文章を読み返すようになり、自分の意見が漠然としたものではなく、文章中の具体的な記述に基づいていることに気づき始めました。そして、自分の考えをいくつかのステップに分けて整理する練習を重ねることで、論理的な思考力が徐々に身についていったのです。したがって、記述問題を通して、お子さんは自分の考えを整理し、それを筋道を立てて表現する力を養うことができるでしょう。
加えて、日ごろからニュースや社会問題について親子で話し合う機会を設けるのも、論理的思考力を養うのに非常に有効です。たとえば、「最近の〇〇のニュースについて、どう思う?」と尋ねてみてください。お子さんが意見を述べたら、「それはなぜそう思うの?」「もし〇〇だったら、どうなると思う?」などと、さらに掘り下げて質問することで、お子さんは自分の考えを深め、論理的に構成する練習ができます。そして、この論理的思考力は、記述問題だけでなく、算数や理科といった他の教科の問題を解く上でも、非常に重要な基礎力となります。つまり、記述力を鍛えることは、国語全体の読解力、ひいては学力全体の向上に繋がるのです。
解答の「根拠」を明確にする訓練
中学受験の国語の記述問題で最も重要なことの一つは、解答の「根拠」を本文中に見つけ出し、それを明確にすることです。自分の意見や推測だけでは点数には繋がりません。本文に書かれている事実や筆者の考えに基づいて、論理的に答えを導き出す力が求められます。そのため、お子さんには、解答を書く際には必ず「本文のどこにそう書いてあった?」と問いかけ、根拠を示すように指導しましょう。
例えば、「この登場人物の気持ちを答えなさい」という問題があったとします。その際、単に「悲しい気持ち」と答えるだけでなく、「なぜなら、本文に『涙が止まらなかった』とあるからです」のように、根拠となる部分を具体的に示すように訓練してください。これは、まるで警察官が事件の真相を解明するために、証拠を集め、それがなぜそう言えるのかを説明するようなものです。ある時、私の指導する生徒が、記述問題でよく「〜だと思います」という曖昧な表現を使っていました。そこで私は、彼が記述した解答の横に、「なぜそう思ったの?本文のどこに根拠があるの?」という質問を書き込み、彼にその根拠を本文中から探し出させるように促しました。最初は戸惑っていたものの、回数を重ねるうちに、彼は自然と解答の根拠を意識して文章を読むようになりました。そして、彼の記述解答には、具体的な本文からの引用や、根拠を示す言葉が増え、点数が着実に伸びていったのです。このように、根拠を明確にする訓練は、お子さんの読解力を単なる「読む力」から、「論理的に考える力」へと昇華させるための重要なステップとなります。そして、この訓練を通して、お子さんはどんな問題に対しても自信を持って解答を導き出せるようになるでしょう。
さらに、根拠を見つける練習として、文章中の「指示語」(これ、それ、あれなど)や「接続詞」(だから、しかし、つまりなど)に注目させるのも効果的です。これらの言葉は、文章中の重要な情報や論理関係を示すヒントとなるからです。また、問題集の解説を読む際には、単に正解を確認するだけでなく、「なぜこの解答になるのか」「どの部分が根拠となっているのか」を意識して、解説を読み込ませるようにしましょう。そして、間違えた問題については、なぜその間違いが起きたのか、根拠を見つけられなかった原因はどこにあるのかを一緒に考えることも大切です。このように、解答の根拠を明確にする訓練を徹底することで、お子さんの記述力は飛躍的に向上し、それが読解力のさらなる深化へと繋がっていくはずです。
添削を「成長の糧」にする効果的な見直し方
記述問題の添削は、お子さんの記述力を伸ばす上で非常に重要なプロセスです。しかし、単に正解・不正解を伝えるだけでは、その効果は半減してしまいます。添削結果を「成長の糧」として最大限に活用するためには、効果的な見直し方を知り、実践することが大切です。お子さんには、添削された解答を「なぜ間違えたのか」「どうすれば良かったのか」という視点で見直すよう促しましょう。
例えば、添削された記述解答を前にして、まずお子さん自身に「どこがダメだったと思う?」と問いかけてみてください。そして、お子さんの言葉で説明させ、もし的を射た答えが出てこなければ、「ここがね、本文のこの部分とずれているんだよ」「この言葉を使うと、もっと筆者の意図が伝わるよ」と、具体的な指摘を加えてあげましょう。ある時、私が添削した生徒の記述解答は、いつも抽象的な表現ばかりで、具体的な内容に欠けていました。そこで私は、彼の解答の横に「具体的に!」「例えば?」と何度も書き込みました。最初は「どうすればいいの?」と困惑していましたが、私が「本文の中から、その気持ちが表れている具体的な場面を探してごらん」とヒントを与えると、彼は文章を読み返し、具体的な描写を引用して解答を修正できるようになりました。これは、まるで料理のレシピを修正するようなものです。材料(本文中の情報)は揃っていても、調理方法(記述の仕方)が適切でなければ、美味しい料理(模範解答)は完成しません。添削を通して、その調理方法を学ぶことができるわけです。そして、このように丁寧に添削を見直すことで、お子さんの記述力は飛躍的に向上していくことでしょう。
それに加えて、添削された解答を清書する習慣をつけるのも非常に効果的です。一度間違えた問題を、正しい形で書き直すことで、正解への道筋を脳に定着させることができます。また、模範解答と自分の解答を比較させ、「模範解答はどこが優れているのか」「自分の解答に足りなかったものは何か」を具体的に分析させることも大切です。そして、その分析結果を次の記述問題に活かすよう、意識させましょう。さらに、同じような間違いを繰り返さないために、間違えた部分や改善点について、簡単なメモを残しておくのも良いでしょう。このように、添削を単なる評価のツールではなく、次へのステップアップのための学びの機会として捉えることで、お子さんの記述力は着実に伸び、それが読解力全体の向上に繋がっていくはずです。そして、この見直し作業こそが、中学受験国語で高得点を取るための鍵となるのです。
5. 親子の会話が国語力を育む!家庭での「言語環境」を豊かにする
日常会話に「読解力」アップのヒントを散りばめる
国語力は、机に向かって勉強するだけで身につくものではありません。実は、日々の親子の会話の中にこそ、国語力を育むヒントが隠されています。日常の様々な出来事について、親子で言葉を交わすことで、お子さんの語彙力、表現力、そして論理的思考力が自然と養われていきます。それは、まるで遊びの中で自然とルールを覚え、戦略を立てるようになるのと同じです。
例えば、お子さんが学校での出来事を話す時、「それでどうなったの?」「どうしてそう思ったの?」と、質問を重ねてみてください。単に「そうなんだ」と聞き流すのではなく、お子さんの話の続きや、その裏にある気持ちを引き出すように意識してみましょう。以前、私の生徒で、普段からあまり自分の意見を言わない子がいました。ある日、彼が「今日の給食、嫌いだった」と話した時、私は「へえ、どうして嫌いだったの?何か嫌なことがあった?」と具体的に尋ねてみました。すると彼は、「ピーマンが入っていたから。あと、みんなが残してたから、僕も残しちゃった」と、具体的な理由と、周りの影響まで話してくれました。この会話を通して、私は彼が単にピーマンが嫌いなだけでなく、周りの雰囲気に流されやすいという一面も理解できました。そして、彼は自分の気持ちや状況を言葉にする練習ができたのです。このように、日常会話の中で「なぜ」「どうして」を問いかけることは、お子さんが自分の考えを整理し、それを言葉で表現する力を育むのに役立ちます。そして、この習慣が、文章の読解においても、筆者の意図や登場人物の心情を深く読み取る力へと繋がっていくでしょう。
加えて、会話の中で、お子さんの言葉を「言い換え」てあげるのも効果的です。「〇〇って言いたいのかな?」「つまり、こういうことだね」といったように、お子さんの言葉をより的確な表現に変換してあげることで、お子さんは語彙のバリエーションを増やすことができます。また、比喩表現や慣用句を積極的に使うのも良いでしょう。「今日は一日中、雨で憂鬱だったね。まさに『雨が降るごとに心が沈む』って感じだね」といったように、文学的な表現を日常に取り入れることで、言葉の面白さや奥深さを伝えることができます。このように、親子の会話を通して豊かな言語環境を整えることは、お子さんの国語力を根底から支え、中学受験国語の読解力向上に大きく貢献するはずです。
ニュースや社会問題について「一緒に考える」時間を持つ
中学受験の国語では、現代社会の様々なテーマや社会問題に関する文章が出題されることがよくあります。そのため、日ごろからニュースや社会問題に触れ、それについて親子で「一緒に考える」時間を持つことは、お子さんの知識を深め、読解力を養う上で非常に重要です。これは、単に情報を与えるだけでなく、その情報について多角的に考察する力を育むことにも繋がります。
例えば、新聞記事やニュース番組で取り上げられた内容について、「この問題、どう思う?」「この解決策について、他に何か良い方法はないかな?」と、お子さんに意見を求めてみてください。最初は難しいかもしれませんが、親が自分の意見を述べたり、異なる視点を提供したりすることで、お子さんの思考は深まります。ある時、環境問題に関するニュースを見た後、私は息子に「プラスチックごみを減らすために、僕たちにできることは何だと思う?」と尋ねました。すると彼は、「マイバッグを使う」「ストローを使わない」といった具体的な行動だけでなく、「企業がリサイクルしやすい製品を作ることも大事だ」といった、社会的な視点での意見も述べてくれました。これは、彼がニュースを単なる情報として受け取るだけでなく、自分事として捉え、解決策を考えるようになった証拠です。そして、このように社会問題について考察する習慣は、文章の背景知識を深め、筆者の主張をより深く理解することに繋がります。そして、この「一緒に考える」時間を持つことで、お子さんの読解力は単なる文字を追う力から、社会を理解し、考える力へと発展していくことでしょう。
それに加えて、子ども向けのニュース解説番組や、ニュースを分かりやすくまとめた書籍などを活用するのも良いでしょう。そこから興味を持ったテーマがあれば、さらに深掘りして調べてみることを促してみてください。インターネットで関連情報を検索したり、図書館で本を借りてきたりするのも有効です。そして、その過程で得られた知識や疑問について、再び親子で話し合うのです。このように、知識のインプットとアウトプットを繰り返すことで、お子さんの思考力は鍛えられ、それが読解力の向上に直結します。また、社会問題について考えることは、お子さんの視野を広げ、多角的な視点を持つことにも繋がります。これは、記述問題で自分の意見を論理的に述べる際にも非常に役立つ力となるでしょう。つまり、親子の会話が、お子さんの国語力を育むための最も自然で、かつ強力な学習の場となるのです。
「言葉の面白さ」を伝える親の姿勢が子どもの興味を引き出す
国語の学習を「面白い」と感じることは、お子さんの学習意欲を維持し、継続させる上で非常に重要です。そのためには、親自身が「言葉の面白さ」を楽しみ、それを子どもに伝える姿勢を持つことが大切です。言葉には、ユーモアや比喩、リズムなど、様々な魅力が詰まっています。それらを意識的に日常生活に取り入れることで、お子さんは自然と言葉に興味を持ち、国語学習への抵抗感をなくすことができるでしょう。
例えば、面白い言い回しや、言葉遊び、なぞなぞなどを積極的に会話に取り入れてみてください。ダジャレや回文なども、言葉の面白さを伝える良いツールになります。ある時、私が息子の宿題を見ていた時、彼は「うっかり」という言葉の意味がよく分からず、つまらなさそうにしていました。そこで私は、「うっかり八兵衛って知ってる?」と、時代劇のキャラクターを例に出し、彼がどんな時に「うっかり」するのか、具体的に思い出させてみました。すると彼は、「おもちゃを出しっぱなしにしちゃう時かな」と笑いながら答え、言葉の意味をより具体的に理解することができました。これは、まるで言葉を遊び道具のように扱うことで、お子さんの興味を引き出し、自然と学習に繋げるようなものです。言葉は、決して堅苦しいものではなく、もっと自由で面白いものだということを、親の姿勢で示してあげることが大切です。そして、この「言葉の面白さ」を伝えることで、お子さんの国語に対する興味は深まり、学習がより楽しいものへと変わっていくでしょう。
それに加えて、物語を読み聞かせる際にも、声のトーンや抑揚を変えたり、登場人物になりきって話したりすることで、物語の世界観をより豊かに表現し、言葉の持つ響きやリズムを伝えることができます。また、詩や短歌、俳句といった短い言葉の中に込められた情景や感情を一緒に味わうのも良いでしょう。そして、お子さんが好きな歌の歌詞に注目させ、「この歌詞の中で、一番心に響く言葉は何?」と尋ねてみるのも面白いかもしれません。このように、様々な形で言葉に触れ、その面白さを体験させることで、お子さんは言葉に対する感性を磨き、それが読解力向上に繋がっていきます。つまり、親が言葉を楽しむ姿勢を見せることは、お子さんの国語学習への扉を開く鍵となるのです。そして、この豊かな言語環境こそが、中学受験国語の読解力を育む上で最も重要な土壌となるのです。
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